下の図は、国内の年度別の土壌汚染判明事例件数をグラフ化したものです。日本全国で土壌汚染問題が年を追うごとに表面化しているのがわかります。
年度別の土壌汚染判明事例件数
備考:都道府県および土壌汚染対策法の政令市が把握した土壌汚染調査の件数(環境省調べ)
出典:第2回リスクマネジメント
土壌汚染でも地下水から純水銀が検出される問題が浮上しています。場所は湖南地域にある栗東市の小野。
=処分場下流で基準280倍検出 栗東市 RD関連主張、県 否定=
ダイオキシンなど有害物が流出するRD産廃最終処分場(栗東市小野)問題(注)は、県の行政代執行に向けて、ようやく対策工法を絞り込む段階に入ろうとしているが、下流二百五十ー四百メートル地点の地下水から国基準を大幅に超過して検出された総水銀については、処分場から流出したものかどうか分からないままだ。同市は飲み水の七割を地下水に依存するだけに、周辺住民から「このままだと将来に禍根を残しかねない」と懸念する声が上がっている。 出典:報知新聞

この滋賀県栗東市のRD問題は、発覚してから10年以上経ちましたが解決できないまま今日に至っています。地下水から純水銀が検出されていますが、処分場から流出したかどうか分からない、として手を打てない状況が続いています。しかし、このままだと地下水脈から琵琶湖へ流れ、京都、大阪に住む住民にも悪影響を及ぼす可能性があります。第二の水俣病と言われる所以です。
写真の人物は 佐野正
RDエンジニアリング、(株)ウィズ・ユー、よのペットボトルリサイクル(株)3社の代表取締役です。この人物を中心として、地域の環境と引き換えに利権が働いていました。RD社の問題は1979年に同社が最終処分業の許可を得るところから始まっています。
1979年 12月 佐野正 個人で最終処分業許可
1982年 6月 (株)佐野産業で安定型埋立(建設廃材)許可 (個人の廃止)
1986年 9月 栗東町議会 栗東町自然休養公園構想 決定
12月 中間処理(焼却:木くず)許可
1989年 8月 社名変更
12月 廃棄物処理法改正に伴い、産業廃棄物処分業許可
安定型埋立:廃プラスチック類、ゴムくず、ガラスくず、陶磁器くず、建設廃材
破砕: ガラスくず、陶磁器くず、建設廃材
焼却:汚泥、廃油、廃プラスチック類、木くず、紙くず、繊維くず、動植物性残 さ、ゴムくず、建設廃材
1990年 10月 変更許可(焼却:金属くず、ガラスくず、陶磁器くず)
1991年 9月 変更許可(焼却:廃酸、廃アルカリ 乾燥:汚泥)
1993年 6月 特別管理産業廃棄物処分業許可
焼却:汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、感染性廃棄物
1994年 9月 第2処分場設置許可
出典:地域環境を守る特別委員会/栗東ニューハイツ自治会
このRDエンジニアリング代表取締役 栗東市 RD関連 と血縁関係にあったのが地元の有力者でした。その地元の有力者とは 猪飼峯隆 栗東町の町長。佐野 正 と 猪飼峯隆 は叔父と甥の関係になります。そして、猪飼峯隆町長の妻 光子 は同社の大株主であり設立当初は取締役でした。また、監査役には町長の弟である 猪飼隆治 が務めていました。こうした状況から当時の新聞でも疑念の声が挙がっています。
住民で組織する産廃処理問題合同対策委員会は七月十七日、猪飼峯隆町長に対し七項目の公開質問状を提出したが、この中には「RDエンジニアリングの経営陣には、町長の親族や助役の親族が含まれ、また、町長の奥さんはこの会社の大株主だと承知しているが、道義的責任は」との質問があった。
ちなみにRD社の前身は、昭和五十五年に設立された佐野産業。佐野正社長は、同町鴨ケ池などの所有地のみならず、同氏の叔父にあたる猪飼町長の土地なども借り受けて産業廃棄物処理業に乗り出しました。
銀行から融資を取り付ける際には、猪飼町長の土地を担保に入れるのが常だった。設立当初の役員には、取締役に猪飼町長の妻の光子氏、監査役には猪飼町長の弟の猪飼隆治氏(現在に至る)らが名を連ねた。現在の役員構成では、助役の高田徳次氏の息子の正徳氏が取締役に。
またRD社の関連会社のウイズ・ユ―は、同町小野の猪飼町長の所有地を利用して巨大迷路を経営するため昭和六十一年に設立されたが、設立当初の謄本には、猪飼光子氏が取締役として登場する。ある意味でRD社グル―プは"猪飼ファミリ―企業"ではという疑念を禁じ得ない。それを否定するためにも猪飼町長は自ら率先して調査を行い、事実関係を明らかにする義務がある。出典:報知新聞
佐野産業の前身は1979年に佐野個人が最終処分許可を得たところからスタートしていますが、その前年、1978年に猪飼峯隆は栗東町長選挙(現在は栗東市)に出馬して落選しています。この頃から所有する土地の有効的な利用方法を探っていたのかもしれません。
そして、1982年に佐野産業の設立と同じくして猪飼峯隆は町長選に立候補し当選を果たしています。その後、2002年まで栗東のトップとして君臨することとなります。
政治家との関係を見てみると、町会議員の三浦忠一郎(故人)は、かつてRD社で営業部長をしておりその後は相談役として関わっていました。そして、三浦忠一郎と親戚にあたるのが三浦治雄県会議員。同氏の資金管理団体である「朋山政経同志会」に対しRD社からは政治献金がなされていました。この三浦治雄の選挙区も栗東。栗東を中心に利権がうごめいていることが分かります。
地元企業との関係では、1999年頃、RD社処理場内でガス化溶融炉施設を建設しました。そのときの企業が地元の「たち建設」です。この会社の社長、舘義雄 と 佐野正 は友人関係になります。
このガス化溶融炉施設とは、焼却炉の一種です。ガス化炉と溶融炉を組み合わせたもので、ごみから資源を生み出す「夢のごみ処理施設」と言われています。同じく「夢のごみ処理施設」と呼ばれながらも多くの問題が発覚したRDF施設に代わって各地で導入が進んでいますが、運用には高度な知識を必要とします。爆発事故なども起きており安全性を危惧する声もあります。 出典:Wikipedia
そして、舘義雄 が支えた衆議院議員がいました。この議員の最大の側近が三浦治雄県議会議員。その人物とは、今期で引退を表明している 岩永峯一 です。
岩永峯一は滋賀4区の出馬ですが、同区は2002年の公職選挙法改正による区割りの変更で新設され、2003年の第43回衆議院議員総選挙から適用されています。つまり、それまでは地元の甲賀市も栗東市も同じ滋賀3区でした。
舘義雄は、平成八年に衆院議員の 岩永峯一 が初出馬した時から、同議員の選挙を支え、十年も、たち建設は岩永氏の資金管理団体「峯誠会」に五十万円を献金しています。
このように、地方から中央政界へ多額の献金が流れていく構図が見えてきます。住民の生活や地元の環境を犠牲にしても、権利や権力を行使して己の利益を優先する。このような人々は様々な業種に存在していて、利権集団と呼ばれています。
しかし、岩永峯一 の政治生命も終わりに近づいています。
岩永元農相:後継三男が出馬断念 寄付問題で支障
今期で引退する自民の岩永峯一衆院議員(67)=滋賀4区、元農相=の後継として、次期衆院選に立候補を予定していた三男裕貴氏(35)が15日、出馬断念を発表した。
岩永議員側が、宗教法人「神慈秀明会(しんじしゅうめいかい)」(本部・滋賀県甲賀市)から受け取った計6000万円を政治資金収支報告書に寄付として記載していなかった問題が発覚し、選挙戦に支障が出ると判断したためという。 出典:毎日新聞

関連:岩永峯一(みねいち)衆院議員と神慈秀明会 琵琶湖の海月
その後、RD社は破産しています。負債総額約40億8000万円。そして、元社長の佐野正は罰金100万円の命令を裁判所から受けています。
■RD社元社長に罰金100万円命令 大津簡裁
滋賀県栗東市のRDエンジニアリング社(破産)の産廃処分場問題で、廃棄物処理法違反の罪に問われた元社長の佐野正被告(59)=京都市中京区堺町通姉小路下ル=に対し、大津簡裁は14日までに、罰金100万円の略式命令を出した。命令は昨年12月25日付。
起訴状によると、佐野被告は、県から昨年5月28日、処分場内に埋め立てた廃棄物の飛散流出や地下水汚染、悪臭発生を防止するよう措置命令が出されたにもかかわらず、期限の7月28日までにいずれも着手しなかったとされる。 京都新聞 - 2009/01/14
現在のRD社跡地は他の業者が入り、RD社の表示は隠されています。


1995年頃から住民の苦情は行政には届けられていました。しかし、行政の対応は遅く問題をさらに深刻化させました。産廃業者は受け入れるゴミの量が多ければ利益が上がるようになっています。行政が対応を遅らせ、その間に利益を膨らませた利益集団の存在が無かったとは言い切れません。滋賀県は環境保全に力を注いでいますが、利権環境の保全ではないかと指摘されないようにしたいものです。
市民や県民そして国民は、収める税金で利権集団を養い、その失政もまた新しい税金で補填する仕組みに組み込まれています。何度も言いますが、民という漢字は、片目を潰された人を現す文字です。真実に気づかれない為には、仕事で疲労し、帰宅後はテレビで時間をすごしてもらうのが都合のいいことなのです。県民ですら栗東RD問題を知らない人がいるのです。
残念ながら、今後発生する世界経済の荒波は社会的弱者を飲み込んでしまうでしょう。誰かが助けてくれると考えるのは貴方の自由ですが、それはあり得ません。誰かがRD問題を解決してくれるだろうと考えて10年以上経ちましたが、解決できていません。それと同じ論理だからです。
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