【よくわかる水素文明】2回目は、石油枯渇(石油減耗)についてです。
2004年に石油の生産量は最大値をむかえました。(石油ピーク、ピークオイル)以後は産出量は減少していきます。石油は採りやすい所から採っていますから、残っている油田は採りにくい、投入エネルギーを多く必要とする油田になります。採りやすい油田は中東にありますから、中東の争奪戦が起こり、供給は不安定になります。
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石油減耗により石油が高騰します。
化学肥料も石油が原料なので高騰しますし、農業機械も石油で動いていますから、採算が取れない農園は放棄され、食料生産が減少します。
また、アメリカは石油の大量消費を前提とした自動車社会なので、石油が高騰すれば郊外の土地で暮らせなくなり、住宅の値段が暴落しました。サブプライム危機です。アメリカは世界から借金をして輸入をしていましたが、輸入する余裕もなくなります。金融崩壊、ドルの非基軸通貨化、帝国循環の崩壊です。日本の輸出産業は、販売代金をドルで持っているため、ドルが暴落すれば資産が消滅しますし、円に替えようとしても円高になり輸出が出来なくなります。
対策については、また別の回に解説します。

地球、自然などと言った本質的なことは市場、技術などでは解決しないのである。現代人の慢心、傲慢さと言っても良いのではないか。同様に有限地球の石油資源がいずれ減耗することは自明なのである。断っておくがこれはいわゆる「枯渇」のことではない。寿命が後40余年と言う話でもない。資源についての誤解はまだある。
資源の「質」を考えず「量」だけなのである。そのためであろう、石油が減っても重質油がある、量は膨大と言った楽観論が幅を利かすことになる。また繰り返される話として、海は資源の宝庫、海水にはウランが無限にあるなどだが、これは間違っている。海水に拡散したウランを濃縮するに膨大なエネルギーが要るからである。そこで石油の価格が上がればとなるが、このようなマネーコストでの考えは、近づけば遠のく蜃気楼のようなものである。
このような永久機関論に終止符をうったのが、熱力学の第二法則である。エントロピー則とも言われ、自然現象では常にエントロピーが増大するという原理である。エントロピー増大の流れとは、拡散、平均化、質の劣化の流れであり、これを逆にするには必ずエネルギーが要るのである。資源とは濃縮された物質、すなわち低エントロピー物質なのだが、日本で余り理解されない。今更ながらエントロピー論が必要のようである。
本論に戻ろう。石油は自然が濃縮した優れた資源、しかも常温で流体である。人類はこの石油の究極埋蔵量とされる2兆バーレルの半分を、殆ど20世紀の後半で使ったようである。まだ半分あると思ってはならない、人間は取りやすい質の良いものから採ったからである。残り半分は条件はかなり悪い質も落ちている。今では中東ですら、それほど供給余力はなくなったが、それでも最後の頼りは中東なのである。
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ところでこの中東は地球史の上で特別のところである。億年単位の大陸移動が関係する。今から2億年程前、テチス海、古地中海とも呼ばれる内海が出来た。そこに沈殿した膨大な有機物が石油になったのである。当時、地球は二酸化炭素が今より一桁も多く温暖で、光合成が旺盛であったからである。しかもこの内海は攪拌されず酸欠状態であったことも石油の熟成に幸いした。このように地球史的に考えると第二、第三の中東は無くて当然なのである。しかしその中東油田も発見いらい数十年、年を取ったのである。従ってもう余り余力はないが、日本はこの中東に90%を依存する国である。今後エネルギー問題を真剣に考えるときに来ている。
更に、多くの人は気がついておられないが、石油は現代農業を支えているのである。従って石油減耗は日本の食、自給率40%の脆弱な食の安全を危うくする。そして石油は合成化学工業の貴重な原料でもある。このように、石油は現代文明の「生き血」なのである。(中略)
前にエネルギーにおいて質がすべてと述べたが、その質は「出力/入力エネルギー比」で考えるのが分かりやすく、しかも科学的である。その代表的な指標にEPR: Energy Profit Ratioがある。
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図6 各種のエネルギー源のEPRと運輸(BJ Fleay、Murdoch University, Western Australia1998)
図6は石油減耗の影響を真っ先に受ける分野、運輸を念頭にしたEPR比較である。巨大油田はEPR60と高いが、オイルピーク時の1970年頃、アメリカでのEPRはまだ20であったが、生産と共に低下し1985年には10を下回っている。最近ではEPRは3程度になったそうである。
原子力発電のEPRは、この図で見る限り極めて低いが、一方原子力関係者は50という数字を上げている。この一桁の違いを分析することはが、今後極めて重要となろう。
松浦彰夫 拝







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