経済の最近のブログ記事

 近いうちに自由の代価さんの作った電動バイクを見に行く予定です。現在の輸送に使用されるエネルギーは石油一辺倒ですが、電動モーターをガソリンエンジンやディーゼルエンジンと交換すれば石油に頼らなくてもバイクが動く訳です。そして電動自動車や燃料電池を積んだ水素船に発展します。

経済にとって輸送は重要な要素です。石油はそのうち無くなる、または非常に高価になりますので、その時に電動の輸送手段があれば最低限の輸送手段は維持できるわけです。

電気の供給元としては、石油の供給が止まって火力発電所や原子力発電所維持できなくなっても、小型の水力や風力の発電所なら小資本で建設できますので、地方で土地が安い所に建築して、地方の収入源になる予定です。

電動バイクも設計図があれば地方の鉄工所で作れるシンプルなものですので、設計図を提供して作ってもらいます。これも地方経済の収入源となります。

 

松浦彰夫 拝

世の中には個人で発電施設を持っている方々がいます。太陽電池、水車、風車などです。こういうので電気自動車などに充電できれば、石油が輸入できなくなっても物流を維持できます。佐賀にそういう方がいらっしゃいましたので、ジョギング会の後に見学させてもらいました。

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下記は風車の内部に登らせていただいて、説明を受けた動画です。ちょうど修理中で止まっていました。電気は電力会社に売電しているそうです。

YouTube - 風車に登って構造の説明を受けました

ちなみに風車の見学に来る人は多いですが、真似した人はまだ居ないそうです。本格的な風車ですのんで、このレベルを1から作るのは個人ではできないですね。スケールがでかいです。これはベルギーで使用していたものを輸入したそうです。ベルギー語を読める人があまりいないので、買い手が付かなかったものを手に入れたとか。ベルギー語の説明書を、英語→日本語の順に訳したそうです。補修は1人でしているそうです。風車は色々大変そうでしたが、かっこ良かったです。かっこ良ければいいのです。

 

松浦彰夫 拝

 『誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義: 松岡正剛』を読みました。概要と感想を書きます。千夜千冊の方です。

 

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本書の概要は、あとがきにありました。

近現代史の「まちがい」がどこからおこったのか、そこをさぐっていくという語りかたに徹してみました。そのため本書では、多くの読者にはやや意外かもしれないであろう「イギリスのまちがい」ということをあえて示してみました。イギリスが犯罪者だというのではありません。イギリスは議会も株式会社もジャーナリズムも小説も産業技術も作ったんです。近代社会がその恩恵に浴しているモデルの多くがイギリスの発明です。

ところが、これらを世界に撒き散らさないと、イギリスは覇権を握れなくなった。そのため植民地を経営し、奴隷を発明し、三角貿易を定着させました。直播きです。直営です。それを百歩譲って、当時の世界経済の繁栄としてやむをえなかったとしましょうか。しかし、そのうちこのモデルは世界中が擬似的に共有するものとなってしまっていたんです。とくにそのイギリスからの移民によって自立したアメリカが、この覇権を継承すると、世界中が同一のルールとロールとツールを使うようになっていきました。

これは「まちがい」です。こんな歴史はかつてあったタメシがありません。だから、ここはよく考えなおすべきところです。ヨーロッパ諸国は、私が知るかぎりはこの「まちがい」を20世紀になってから何度かにわたって反省し、検討してきたように思います。その成果のひとつがフッサールやアドルノの現代思想や、カフカやベケットの文学となり、EUの試みやアート・ムーブメントになってきた。それを一言で言えば「自由と国家と資本主義」の新たな組み替えということでしょう。本書は、こうした「生みの苦しみ」のあとを辿ったものとも言えるかもしれません。

残念ながら、日本はいま「まちがい」を巨視的にとらえていないようです。互いの「なすりあい」に終始していて、疲れがでています。困ったことですね。

誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義 おわりに 苗代の知恵 P466

イギリスが作った近代世界システムの間違いを考え直そうということのようです。

 

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そして、近代とは「代理の社会」だそうです。

 私は、そもそも近代社会というのは「代理の社会」だというふうに思っています。

自分で政治もしないし、料理もしないし、洗濯もしない。政治は代議士にしてもらい、洗濯はクリーニング屋に頼み、旅行は旅行代理店に組んでもらう。法律のことは弁護士にまかせ、食事もレストランのシェフのものを食べ、教育は先生方に面倒を見てもらう。企業も財政面を銀行に見てもらい、その宣伝は広告代理店に代理させていく。

これが近代社会の実態です。なにもかもが他人のつくる機関にまかせていく。そして、大衆はそれに文句をつければいいということになっていく。こういう「代理の社会」をつくったことが、ネーション・ステートのもうひとつの特色だったわけです。

すべての代理がよくないということではありません。「まちがい」とも言いません。政治や法律や教育や医療は、代議士や弁護士や教師や医師にまかせてもいいでしょう。けれども、そこには限界もあるし、失敗もあるし、過剰や不足もあるのだから、目を光らせるだけではなく、ときには自分で引き取る覚悟を持っていたほうがいい。

その代理性が、20世紀後半ではついに米ソによる「代理戦争」にまで究極化していったわけでした。2つの大戦の戦禍や原因など、国家においてはなにひとつ反省されていなかったんですね。

こんな「代理の社会」がこのまま、21世紀の政治や経済の理想モデルになるかといえば、とうていムリでしょう。私はそれをせめて「編集の社会」にしていくべきだと思っています。「代理を編集で取り戻せ」ということですね。

誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義 第10講・・・資本と大衆の時代 冷戦時代のポリティクスーー代理社会の代理戦争 P392

近代は「代理の社会」であり、エスカレートして「代理戦争」にまでなってしまった。

 

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国営昭和記念公園 こもれびの里

筆者は、近代の間違いに対して「苗代」という方法で対処しようと提案しています。苗代は梅雨を挟んで稲を丈夫に育てるよう工夫した方法で、「依代(よりしろ)」「憑坐(よりまし)」「物実(ものざね)」という考え方のルーツのひとつになっていたそうです。これらは、そこに何かがやってきたり、着いたり、宿ったり、育ったりするとても小さな「座」「棒」「柵」のようなものだそうです。日本の稲作はダイレクトに育てず、苗代という仮の場所に種をまいて、2段階で育てる。

他国から来た異質なものも、いきなり全面的に受け入れず、まず小さく育ててみて吟味する。その段階で日本に合うものに「編集」して取り込むという方法を、筆者は提案しています。

 

一理ありますが、「苗代」は受け入れる側の方法論だけなので、外に広げていく側の方法論は別に構築する必要があると感じました。

「苗代」は農業のランドパワーの方法です。日本は島国なので、海を上手く使うというシーパワーの方法があります。日本は外交下手といいますが、土地をもってそこに引きこもるという発想で、内向きになってしまっています。海は物資の輸送に便利です。徳川時代に鎖国したおかげで、山田長政のように東南アジアに進出した日本人が途絶えてしまいました。それが続いていたら、日本人には国際感覚があふれていたと思います。

 

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本書では方向性が違いますが、「海の民」についての記述がありました。「水軍」などでしょうか。

世界にはいろいろ共同体のモデルがありえます。けれどもアジア的な共同体というと、そんなに多くのモデルにはなりません。①生態適応型の共同体、②ネットワーク型の共同体、③大文明型の共同体、おおざっぱにそのくらいでしょう。

①は、たとえば東南アジアの山地やジャワや日本の農村部にかつてはよく見られました。いまではこれを「エコ」などと言いますね。②は、「海の民」や「草の民」がつくってきた共同体です。ネットワーク的に動いていく共同体モデルです。③は、中国の社稷(しょしょく)共同体やインドのカースト制がつくってきた。しかし、こうしたアジアの共同体も、いまでは各地でいちじるしい変更や修正をうけてしまっています。

ということは、これらのどの共同体のモデルがいいかということではなく、いま残っている母型や単位をさまざまに共存させていくことが必要だということです。そういう「編集方法」を考えなければならないでしょう。

誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義 第11講・・・日本の苗代をとりもどしたい 日本人の「ものの見方」 P432

「海の民」はネットワーク型の共同体ということです。コミュニティに閉じこもらずに外と積極的に関わっていくという意味だと思います。日本の活路は、海路にこそあるのでは無いかと思う訳です。

 

松浦彰夫 拝

「三方よし」という理念

「三方よし」とは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」というもので、近江商人の家訓として伝わっていたものです。

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理念|三方よし研究所

売り手、買い手、世間の3者がそれぞれの利益をあげ、Win-Win-Winの関係を築くことで、経済の長期的な発展が成りたつ。自分の利益だけを追求したら、信用を失い失敗する。すばらしい理念だと思います。

 

「三方よし」でない経済

経済の目標として三方よしを設定するとしたら、三方よしでない社会を三方よしの経済に変えていくことになります。三方よしでない経済とは、どういうものになるでしょうか。

よいものがあれば悪いものもあります。経済において利益が有るのが善し(よし)、利益が無いのが悪し(あし)とします。

三方よしあし
  売り手 買い手 世間
1 ○善し ○善し ○善し
2 ○善し ○善し ×悪し
3 ○善し ×悪し ○善し
4 ○善し ×悪し ×悪し
5 ×悪し ○善し ○善し
6 ×悪し ○善し ×悪し
7 ×悪し ×悪し ○善し
8 ×悪し ×悪し ×悪し

 主体が3つあって、それぞれの状態が2つなので、組み合わせは8つになります。

1)三方よしの状態です。

2)生産者と消費者に利益があるが、世間が不利益。公害を出したり、麻薬を販売したりなどの反社会的な商活動をしている状態です。

3)生産者と世間に利益があるが、消費者が不利益。欲しくないものや、必要ないものを無理やり買わされている状態です。植民地の人が過去に必要でなかったものを買わされるのがこの状態でしょうか。宣伝などで煽られて、買い物依存症になるのもこの状態です。消費者の借金が増えていき、自己破産になるでしょう。

4)生産者に利益があるが、消費者と世間が不利益。低品質のものを売られて、リコールが起こる状態です。詐欺で無価値なものを売りつけられるのも、この状態です。

5)消費者と世間に利益があるが、生産者が不利益。製品の売値が下がって仕方なく赤字で販売するのがこの状態にあたるでしょうか。

6)消費者に利益があるが、生産者と世間が不利益。客なら何をしても許されると考えるモンスター化した消費者がこの状態にあたります。

7)世間に利益があるが、生産者と消費者が不利益。チェルノブイリのように人が居なくなって自然環境が回復するとか、戦争で物や人命を浪費してデフレ不況回復、という状態にあたります。

8)利益をあげる主体が居ない。商活動が成り立たない状態です。内戦が起こり無法地帯になればこうなるでしょうか。

 

「三方よし」への道

こうして書き出してみると、三方よしでない経済のパターンは多いです。

特に2の公害や反社会的商活動の場合、隠蔽されていますし儲かりますから、長続きして被害が拡大しますので、問題が根深いです。2の対策としては、まず隠蔽対策です。世間に対する悪事をしないか監視し、悪事をした場合は情報公開します。次に儲からなくする。不買運動を起こすなどして兵糧攻めにします。しかし、兵糧攻めが効きにくい悪事があります。政府と結託している悪事というのがあり、政府から資金が供給されますのでしぶといです。この場合は、情報公開をしぶとく続けて、持久戦で政治を変えていくことになります。

2以外も対策の基本は同じになります。情報公開で誰が不利益を被っているのかを明らかにして、兵糧攻めをするのが、効率の良い方法だと思います。

一番良いのは、生産者、消費者、世間、それぞれの当事者が、悪事をしないように気をつけることです。独占状態になるのも良くありません。適当なライバルがいることで腐敗や横暴な行為を防げます。悪事を行なえば、そのライバルに市場を奪われますので、抑止力になります。

「三方よし」が実現すれば信頼に満ちた社会になりますが、それでも油断は禁物です。安定に慣れてしまい、社会の発展が停滞することもあります。失敗は成功の元と言いますが、成功は失敗の元になることがあります。ある時点での優位点が、状況が変わった場合の弱点になる場合もあります。

永遠に完成しない目標を、永遠に追いかける。案外それが人間の幸福なのかもしれません。「遠足は前の日の晩が一番楽しい」ということがありませんか?目標は計画段階が一番楽しいものです。つまり、永遠に計画を立てていれば、永遠に楽しいのです。

 

松浦彰夫 拝

 

JALのマイレージはそのまま使えるようにするつもりだそうです。

一応書いておくと、マイレージというのは、飛行機に乗った距離に応じてポイントが付き、航空費の割引や買い物に使えるサービスのことです。電子マネーやSuicaなどにも交換もできるみたいです。JALの倒産でマイレージも無くなるのではないかと、危惧されていました。

これも地域通貨の一種だと言えなくも無い。

合理的に考えて、割引するだけなら最初から割引してくれたほうが得ですが、ポイントを貯めること自体が目的になっている人もいますね。ゲームでハイスコアを競い合うようなものです。客が楽しめるならそれで良いのかもしれない。

記録として、メールを掲載しておきます。

 JALマイレージバンク会員各位


  平素はJALグループをご利用いただき、厚く御礼申し上げます。

  このたびは、JALグループ再生をめぐる一連の動きの中、お客さまには
 多大なるご心配をおかけしており、まことに申し訳ございません。

  既に報道されておりますように、日本航空は、本日企業再生支援機構からの
 支援決定をいただきました。あわせて、短時間で確実な再生を行なうために、
 東京地方裁判所から会社更生手続きの開始決定を受けました。
 これにより事業の継続に必要な資金は確保され、さらに、事業を継続していく
 ために、商取引債権とお客さまのマイレージは確実に保護されることに
 なります。

  今後ともJALグループ航空会社は安全かつ安定した運航を継続してまいります。
 お客さまの航空券、ご予約はそのままご利用いただけるとともに、新たな
 ご予約も、引き続き承ります。他社運航のコードシェア便、JALで予約された
 他社乗り継ぎ便もこれまで通りご利用いただけます。またお持ちの株主優待券
 も、これまで通りご利用いただけます。

  また、お客さまのマイレージは保護されるとともに、これまで通り、マイル
 をおためいただけます。また、お持ちのマイルは、これまで通り、特典に交換
 していただけます。既に交換済みの特典も、これまで通りご利用いただけます。
 JALマイレージバンク会員、JALカード会員の皆さまには、これまで通り、
 JALマイレージバンクのサービスをご利用いただきますようお願い申し上げます。

  さらに、JALカード、ジャルパック、ジャルツアーズ、JALホテルズなどの
 グループ関連会社も、これまで通り営業いたします。

 どうかご安心いただき、今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、なにとぞ、
 よろしくお願いいたします。


                           平成22年1月19日
                               日本航空


 ■お問い合わせ先を含め、ご案内はこちら
   http://www.jal.co.jp/other/info2010_0119.html
 ∽∽------------------------------------------------------------∽∽
 ┌【 アドレス変更/配信中止/メールニュース選択のお手続 】
 └ https://www121.jal.co.jp/JmbWeb/JR/EmailChgBasicPre_ja.do
 ┌【 パスワード(PIN)照会 】
 └ https://www121.jal.co.jp/JmbWeb/JR/PwdReqPre_ja.do

 なお、ご質問・お問合せがございましたらJALホームページ内ご意見・
 ご要望 http://www.jal.co.jp/footer/goiken.html より送信ください。
 当メールの送信アドレスは送信専用となっておりますので、このメールへの
 返信によるご質問、お問合せにはお答えできません。
 ∽∽------------------------------------------------------------∽∽
  編集・発行:日本航空
    http://www.jal.co.jp/
  copyright(c) Japan Airlines. All rights reserved.
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松浦彰夫 拝

 個性が大事といいますが、この話を読むと「好きな事を貫くのが個性」というのは少し違うみたいです。考えさせられます。

天命に従って人事を尽くす」に似ているかもしれないですね。お客さんの客観の集合体が天命であり、お客さんに奉仕し満足してもらえれば、人気が出る。 人気というのは、それこそ雲をつかむような、砂上の楼閣のような、いつでも危ういものかもしれません。

「結局は自分の好きなことを貫き通したやつが勝つ」というのはよく言われることだ。そしてお笑い芸人を目指している生徒たちも、たいていはそういうもんだと信じていて、自分の好きなお笑いを貫こうとする。自分が面白いと思うネタを作ってくる。自分がやりたいお笑いをやる。

しかし、そういう生徒はことごとくウケないのだ。学校では月に一度、生徒たちによるライブを開催していて、そこでは見に来てくれたお客さんによる人気投票も行われているのだけれど、自分の好きなことを貫き通した生徒から順に、人気投票の下位から並んでいくのである。

それは一度や二度ではない。毎度そうなのだ。それで、さすがのぼくもそのことに気づき、「ははあ、自分の好きなことを貫き通したやつが結局負けていくのだな」というのを知るに至った。また、自分で理解しただけではなく、生徒たちにもくり返しそれを教え、伝えてきた。

すると生徒たちも、初めは「何をわけの分からないことを言っているのだろう」と訝しげな顔をしていたものの、やがてライブを重ねるうちに、自分自身に残酷な結果が降り続くようになると、「どうやらあれは正しいらしい」と納得せざるを得なくなってくる。

但し、それが納得できたからといって、人間、なかなか自分のやりたいことを捨てきれないのもまた道理。授業の中で、あるいはそれ以外の場所でも、くり返し自分の好きなことを貫かないよう指導しているにもかかわらず(また彼らも頭ではそれを理解しているにもかかわらず)、長年違うふうに教わってきたため身体が反応してしまうのか、あるいは自分の好きなことへの執着が強すぎるせいなのか、なかなかその状態から抜け出せないのだ。

自分の好きなことを貫くのがダメな理由

ではなぜ自分の好きなことを貫き通すと負けてしまうのか?

ぼくの分析したところでは、その理由は大きく分けて三つある。

一つは、自分がそれを好きでやっているということは、裏を返せばお客さんへの奉仕の気持ちが足りないということになり、それを見透かされて、お客さんの気持ちを萎えさせてしまうということがある。

お客さんというのは傲慢で、またとても残酷なところがあるので、奉仕の気持ちが足りないと見えてしまった瞬間に、舞台の上の芸人に幻滅し、興味をなくしてしまうのである。

「あ、この人は私にサービスするつもりはないのだな。自分だけが楽しんでいるのだな」

そう思われたら最後、お客さんの心が暖まることは二度となく、以降、そこでどんな内容のお笑いがくり広げられようと、ほとんど笑ってくれなくなるのだ。

二つ目は、舞台というのはお客さんとともに作り上げていく「共同作業」という意味合いが強い——というのがあるだろう。

「ライブは生もの」と言うが、あれである。どんなに面白い演目でも、お客さんの反応が薄ければ、演じている側のマインドに響いてしまって、上手くいかなくなる。調子が出なくなる。またそれを引きずってしまうようになる。だから、舞台の上の芸人というのは、どんなに自分が好きなお笑いを演じていようと、お客さんの反応が薄ければ、とたんに萎縮したり、自信を失ったりして、負のスパイラルに陥り、とたんに面白くなくなるのだ。

その点では、舞台というのは他の(お客さんの反応がダイレクトに見えない)メディアとは違って、自分の好きなことを貫き通すのがより難しいということができるだろう。

そして最後の三つ目は、これが一番重要なのだが、「人間というものは、本来的には『人に喜んでもらうこと』を至上の喜びとして感じる生き物だ」ということがある。

人間は、本来的には「社会的な動物」なので、ほとんどDNAのレベルから、「他人に喜んでもらうことこそ本当の喜び」だというふうにプログラムされている。だから、自分の好きなことを貫くことは本来的な喜びとはならないはずなのに、生まれてきてからの誤った教育のせいか、そのことを忘れたり、考え違いをしてしまっている人間が多いのである。

実は昔のぼくもそうだったのだが、「人間は自分の個性を貫くことがだいじ」であるとか、「考え方は人それぞれ」とか、「当人の気持ちは他人には絶対に理解できない」など、自分というものをだいじにしすぎた結果、いつの間にか「例え他人に理解されなくても、人間は自分の好きなことを貫いた方が幸せなのだ」と勘違いするようになってしまっているのだ。

しかし、誰でも深層心理のレベルでは「本当は自分の好きなことを貫くことよりも、たくさんの人に喜んでもらうようなことをやりたい」と思っているから、そこで思いの齟齬が生じてしまうのである。アイデンティティが損なわれるのだ。気持ちが引き裂かれて、心がバラバラになってしまうのである。

そのバラバラの心を引きずったまま舞台に立つから、結果的に中途半端な、どっちつかずのネタになるのだ。これでは、どんなに頑張っても、面白いものなどできるはずがないのである。

ではどうすれば自分の好きなことを貫かないで済むようになるのか?

しかし、この状態をあらためることは本当に難しい。しかしあらためないことには前に進めないので、ぼくにとっても、またそれを抱える生徒たちにとっても、今や深刻な問題として立ちはだかるようになった。

そういう時にぼくがくり返し言うのは、「まずは自分を捨てる勇気を持て」ということだ。そしてドラッカーの著作の中でもくり返し述べられている「顧客からスタートする」というのを肝に銘じろ、ということである。

ぼくはいつも、みんなにイメージしてほしいと言うようにしている。満座の観客が、自分のネタで大笑いしている場面を。そして、それを舞台の上から見ている自分を。

その時あなたは、どういう気持ちになりますか?

その時あなたは、喜びを感じているだろうか?

もしその時、あなたが喜びを感じているのだとしたら、そこからスタートして下さい。その笑顔を引き出すことの喜びを目標に、ネタを作って下さい。そうすれば、自ずから自分を捨てる勇気を持てるし、「顧客からスタート」することもできる。そうして、自分の好きなことを貫かないでも済むようになるのだ、と。

結局、「自分の好きなことを貫かなかったやつ」が勝ちなのである。これは、お笑いに限らず、舞台の上に立つ者全てに当てはまる真理である。

「顧客からスタートする」ということ

『THIS IS IT』

この映画を見ると、いかにマイケルが「顧客からスタート」しているかがよく分かる。コンサートのリハーサル中、彼は何かあるとすぐにファンのことを口にするのだ。彼はいつも、ファンの思いからスタートしているのである。いつでも、お客さんが喜ぶことを貫こうとするのだ。それが、マイケルが勝利したことの最大の要因である。

また、これらの本にも、そのことが書いてあります。もし良ければ読んでみて下さい。

『怒る企画術!』

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』

結局は自分の好きなことを貫き通したやつが負け - ハックルベリーに会いに行く

 

松浦彰夫 拝

 「教育における革命」に書いてあるように、機能を忘れて、構造の維持だけを追求する組織は破綻します。銀行の本分は民間企業への融資であり、そのために与信管理の機能を持っていますが、本分を忘れた銀行は与信管理の機能を失い、用無しになってゴミになるでしょう。どこの銀行とは言いませんが、銀行員の方は気をつけた方が良いでしょう。

本来、銀行は与信管理を行い民間企業に融資することで資本主義経済を活性化しなければならないのですが、それよりも国に貸し出すことが手間もかからず楽に利益を得られる方を選択したと言ってもいいでしょう。一方、国債を発行した国は得た資金を子供手当や高速道路の無料化といった有権者が喜びそうな提案に充てることで政権を維持しようとしていますが、個人にお金をばらまいても商品やサービスなどに消費されるだけで、イノベーションとはほど遠いものになります。

国借金はおよそ1000兆円に膨れ上がっていますが、これが民間企業に投資されていれば日本だけでなく人類にも大きなリターンが得られていたかもしれません。

Crescendo» 国の借金

 

松浦彰夫 拝

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